『世界文化遺産 姫路城』
その姫路城を、遠路はるばる滋賀県建築士会の皆さんが見学に来られましたので、
西播ブロックの有國副委員長とともに、ご一緒させていただきました。
「姫路城改修工事現場・視察研修見学」
~平成中期の大改修工事を見に行こう~
◇日時:2010年2月27日(土) AM10:30~AM12:00
◇場所:姫路城西の丸作業所
◇主催:(社)滋賀県建築士会湖東支部
◇協力団体:姫路市役所教育委員会、(社)兵庫県建築士会姫路支部

いつ見ても、美しい
それでは、早速報告します。
2010年2月27日(土) AM10:20
姫路城を見るのは、いつ以来だろう。
久しぶりに見る姫路城には、何か異様な構造物が

ちょっと離れてみると、横にはさらにタワークレーンまでも

実は、これから始まる大改修工事に向けての準備をされているようです

お城というものは、敵が攻め込みにくいように、馬ですら簡単には天守閣まで登れないように、通路が狭く作られています。

もちろん、車なんて通れるわけありません。

だから、
城壁をまたいで、大きな足場が架けられています。
資材搬入用の足場だそうです
イメージではこんな感じになるそうな

さすが、姫路城、やること為すことスケールがでかい。
足場(構台)は3月いっぱいで完成予定。
その後、4月12日から台天守の素屋根作りに入り1年かけて作ります。
(工事が4月12日から始まるのは、4月11日までお花見が楽しめるようにだそうです。)
久しぶりに見る姫路城に驚きながら、集合場所の入城門へ
2010年2月27日(土) AM10:30

入城門で待っていると、姫路支部の有國さん、そして滋賀県建築士会の皆さんが次々と来られ、本日案内してくださる姫路市役所の小林さんの先導のもと、「いざ、入城!」

入城門の裏側はこんな感じ
で、私達は

入城門を入ったところすぐにある、全体配置図の前で、今回の工事の内容について説明を受けます。
説明してくださるのは、姫路城のガイドさんではなく、
姫路市役所文化財課の小林さん

マニアックなツアーの始まりです。
姫路城は大小あわせて82棟の建築物で構成されていて大天守を除く81棟を29年に分けて修理していきます(平成中期大改修)
大きさにもよりますが、年間に3棟ほどの工事を行います。
(先ほどの写真の入城門ぐらいの大きさであれば、修理には1年ぐらいかかるそうです。)
今回の工事では、外部のお化粧直しがメインで、壁の漆喰の塗り替え、屋根瓦の葺き替え、そして、部分的に耐震補強を行っていくそうです。
29年かけて改修工事を行い、30年目からは、また1年目に工事したところを改修していくとのこと。
という事は、この先、改修工事はエンドレスに続いていくことに。
「どうして29年もかけて工事をしていくのか?」
どうせやるのなら、一気に工事を終わらせてしまえば・・・
実は、姫路市では、姫路城の改修工事とともに、姫路城を修復できる職人を養成するためにこのような長期にわたる工事計画を立てているそうです。
思わず納得。
文化を未来永劫残していくためには、様々な取り組みが必要なのだと改めて知らされました。
さて、それではいよいよ工事現場の見学とまいりましょう。
2010年2月27日(土)AM11:10
普通の観光客の方なら、まずは天守閣を目指すのでしょうが、マニアックツアーは一味違います。
工事用のシートに囲まれた西の丸へ

もちろん、外からは中の様子はわかりません。
西の丸の櫓は、シートの隙間からちょっとだけ見えますが

どうせならシートの中が見てみたい
ということで、見せてもらいました。

もちろん、一般のお客さんには非公開です。
(強引に覗き込めば、見る事は可能ですが)
城郭の廊下の壁の塗り替えを行っています
上の写真では、真っ白な壁になっていますが、

塗り替える前はこんな感じ。
結構痛んでます(写真ではわかりづらいですが・・・)
修復工事に使われる漆喰は、海藻から海苔を炊き出して作られるそうです。
続いては、屋根の上を見せてもらうことに

慣れた足取りで、ひょいひょいと屋根の上に乗り、説明する小林さん
屋根には厚さ3ミリの「こけら板」が貼られています。

この上に瓦を葺きます。
完成すると瓦しか見えませんので、こけら板は工事中しか見れません
(これぞ、まさしくプレミアム。)
所々、色違いの(ねずみ色っぽい)こけら板がありますが、

実は、昭和12年の改修工事の時のこけら板です。
残せるものは残しておくそうです。
プレミアムな見学を終え

満足な一行
残り時間もあまりなくなってきましたので、大天守に向けて歩き出すと

既に修復を終えた櫓が
屋根の瓦も白い目地を塗るので、屋根まで真っ白。
だから「白鷺城」と呼ばれるのだなぁと一人納得
出来る限り古いままの状態で残しておくのが良いのか、
可能な限り修復して綺麗な姿に戻すのが良いのか

意見は分かれるところですが、保存という観点から言えば、修復は必要なことだと思います。
今回は、マニアックツアーということで、大天守は外から見るだけ。
大天守の入り口でUターンして見学を終わることに。
入城門を出て、一同記念撮影

向かって左の方に私たち兵庫県チームは居るのですがおわかりでしょうか。
昨年の12月ぐらいだったでしょうか。
近建青で知り合った滋賀県建築士会の友人から、
「今度姫路城を見に行きたいのだけれど・・・」
と相談を受けたのは。
早速姫路支部の皆さんに相談したところ、支部長さんをはじめ姫路支部の皆さんが親身に対応してくださり、滋賀県建築士会さんが希望するようなマニアックで見所の多い見学会にすることが出来ました。
姫路市役所の小林さんの説明はとてもわかりやすく、また、どんな質問にも的確に答えていただき、参加者一同大満足の見学会だったと思います。
これを機会に、兵庫県建築士会、滋賀県建築士会、そして姫路市役所と、新しいつながりが出来た事は、本当に素晴らしいことであり、今後に繋がるものだと思います。
青年委員会でも、来年度は、是非「姫路城の見学」のために姫路市に訪れたいものです。
是非皆さんも、生きている姫路城をご覧頂きたいと思います。
つたない報告ではありましたが、これにて報告を終わります。
(青年委員会・阿部徳人)
<お知らせ>です
