2010年10月9日土曜日

【報告】UD建築研究会主催・『建て替え知らずのマイホームづくり』勉強会に参加してきました。

10月の三連休、今年はあいにくの雨模様。
運動会や秋祭りなど順延や中止になったところも多かったのでは。

そんな中、(社)兵庫県建築士会ユニバーサルデザイン建築研究会主催のセミナーに行ってきました
 


住宅セミナー
『建て替え知らずのマイホームづくり
       -住み続けるための工夫-』





◇日時:2010年10月9日(土) 13:30~15:30
◇場所:尼崎市 たちばなNPOプラザ(兵庫県尼崎市栗山町2丁目24-3)
◇主催:(社)兵庫県建築士会 ユニバーサルデザイン建築研究会
◇共催:(社)兵庫県建築士会 女性委員会

◇講師:(社)兵庫県建築士会 ユニバーサルデザイン建築研究会

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雨の中でしたが、地元の方がたくさん来られていました。



本日のチラシ
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それでは、報告を

2010年10月9日(土)
13:00頃


会議や勉強会が開催される場合、大抵の場合遅れてしまうのですが、今日は、比較的近い場所での開催だったので遅れることもなく、会場に到着。

会場の「たちばなNPOプラザは 尼崎市の立花地域振興センターに併設されている建物でちょっと分かりづらいところにあったのですが、私以外にも来場者が次々とやって来られてましたので、迷うことなく会場に入ることが出来ました。

会場には、女性委員会の常俊委員長や、公益法人検討特別委員会でご一緒させていただいている野崎さんなど知った顔もチラホラ。
阪神支部で理事をされている野山さんも居られました。


13:30~

定刻になり、セミナーはスタート。
まずは、たちばなNPOプラザの方の挨拶。

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って、野山さんですやん。
(たちばなNPOプラザでも活動されていたんですね。知りませんでした・・・)

「長く住み続けるためには、工夫が必要、今日は具体的な事例なども紹介していただきながらみんなで一緒に勉強していきたい」というようなお話をされていました。

続いて、立花地域振興センターの職員の方などの挨拶があり、本編のスタート。


13:40~

司会進行は野崎さんがされるようです

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「UD(ユニバーサルデザイン)建築研究会で、日頃研究している内容を伝えていくことで皆さんの悩みの解決に役立てればと思っています」とのこと。
☆導入~どうして、このような研究を行うことになったのか~
女性委員会の常俊委員長より、UD研究会を立ち上げるきっかけなどの説明


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日本が抱える住宅事情とは?
「日本の住宅は、諸外国に比べて、建て替えサイクルが非常に短い」
(日本は30年、他の国では、その倍もしくはそれ以上)


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どうして、日本の住宅は長持ちしないのか?
⇒戦後の住宅不足(質より量)
⇒高度経済成長時代(経済性・効率性の重視)
⇒流行(消費過多)
⇒新築での売買
⇒日本の気候風土にも問題
日本では、「壊す文化」が形成されてきたのではないかと。


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もちろん、耐久性・耐震性を向上させて住宅としての質を上げていくことは重要であり、そのために様々な研究が行われているが、その事ばかりに注目するのではなく、
・住人のニーズに対応
・健康で快適に暮らすことができる住宅
を考えていくべきではないだろうか。

そんな思いがきっかけで、UD建築研究会は立ち上がり、今回のセミナーの資料にもなっている

ユニバーサルデザインの視点から探る
「住み続けることが可能な住宅」の基本

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という冊子をまとめるまでに至ったというお話でした。
まとめられた冊子の特徴としては


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・細かいディテイルにこだわらず
・ケースバイケースの対応
・工事をする時点での最善の対応策
を選択できるようなものにされたとのこと。

「住む人の視点にたって考える」ということは、重要なことであり、共感できる部分でありました。
この時点で、多くの方がメモを取られていた様子で、今日のセミナーに対する地元の方々の期待が伺えました。

ちなみに今日の資料はこんな感じ
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前半部分(と言っても、まだ本来のセミナーは始まっていませんが)で、随分と長く書いてしまいましたので、ここからは、サラッと報告していきます

1.アプローチ・玄関 (講師:日高氏)
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一般的に、加齢により身体機能は低下していく
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それらの問題に対して、どのようにしていくか(どのような対策を講じるか)をスライドを使って、視覚的に説明していくようです。
安全性と意匠性を考慮した上で、空間を利用したり、手すりや新しい装置を設置したりと様々な方法を提示されていました。
そして、玄関・アプローチ編の締めくくりとして、講師の日高さんが
「現代社会は無縁社会に向かっている。近隣の方の見守り、ふれあい、そしてコミュニケーションを取るために玄関・アプローチは重要な場所です」
と話されていたのが、とても印象に残りました。


2.廊下.階段  (講師:八木氏)
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まずは、廊下ができた歴史などについて
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年代別に、サザエさんの家の間取りやちびまる子ちゃんの家の間取りなどが示され、一般の方が取っ付き易いように工夫されているようで、見ていてとても楽しめる内容でした。
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家の中で一番、事故が起こりやすいのが階段
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敷地の都合により、どうしても犠牲になることが多い階段。
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回り階段の部分で、段が付いているのはとても危険です。


3.個室・居間・食堂  (講師:木下氏)
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昔は、襖や障子で仕切られていた部屋が、戦後の「寝食分離(生活と寝る場所の区別)」の考え方によって現在のような個室の形になったそうです。現在では、子ども部屋と寝室が個室の主だった用途なので寝室を中心に説明されていくとのこと。
介護への対応のため、間取りを変更したり、動線計画を見なおしたりと様々な手法の提案がありました。

続いて、居間と食堂の話。
居間と食堂は住まいの中での中心的存在。最も快適で楽しい空間にしていくことを心がける。
扉・家具・窓・冷暖房機器・スイッチ・コンセントなどの具体例を上げて説明されていました。

4.台所  (講師:野崎氏)
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さて、本日最後のパートになります。
この日の参加者は女性の方が多く、そういった意味では、一番興味のある部分だったのではないでしょうか。

台所の計画は、誰を中心にするか(来客or家族)であるとか、何を求めるのか(家族の団らんor子供の見守りor接客)によって、全然変わってくる。
台所の近くに洗濯室があれば便利だとか、台所は家族と対面型が良いとか、男の人が主に家事をするとかによっても全然変わってくる。

機能面、効率的な作業動線、高さの目安、温熱環境、設備計画などについて、様々な場合を想定したケースバイケースの具体例を提示されていました。
最後に有名な建築物の間取りを、ル・コルビュジエの「小さな家」です。

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(「小さな家」といっても、十分な広さがあるようですが・・・なんて余計なことは言わないで。)
使い勝手を考えてコンパクトにまとめられた平面計画が参考になるはずです。


これにて、講義の部分は終了です。

セミナーという形式では、多くの方を対象に話さなければならないので、説明するのにも工夫と細やかな配慮が必要だというのを痛感しました。

本当に考えられたセミナーだったと思います。

最後は質疑応答の時間が設けられ
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活発に意見が出ていました。

参加されていた方の意見の中には、
・リフォームについて相談したいけれど、リフォーム業者さんに相談すると・・・
・公的な機関で相談できる窓口みたいなものがあれば・・・
このことは、今後の課題として持ち帰ります。



内容の濃いセミナーだったので、ついつい報告が長くなりましたが、詳しい内容については殆ど触れていません。
いつもやっているセミナーというわけではないので、是非ともセミナーを体験してくださいとは言い難いのですが、機会があれば是非ともご参加ください。

次のセミナーは10月23日(土)に行われます。


これにて報告おしまい(阿部徳人)